数理科学専門部会報告書

要 約

 本文において、それをどのように記述しているかを明らかにし、その内容を要約しておこう。

 まず第1章「数学とは」では、数学という「学問」がどのようなものであるかを(数学者の立場から)語る。数学認識の歴史的な発展をも考慮しつつ、その本質を以下の四つの命題にまとめてみた:

1.数学の基礎は数と図形である。

2.数学は抽象化した概念を論理によって体系化する。

3.数学は抽象と論理を重視する記述言語である。

4.数学は普遍的な構造(数理モデル)の学として諸科学に開かれている。

 次に第2章・第3章で数学の世界がどのようなものであるかを記述する。ここが本書の主要部分である。

 第2章では、数学の対象と主要概念について記す。言い換えると「数学」というめがねで現実を見るとどのように見えるかを述べる。内容は四つに分かれており、「数量」「図形」「変化と関係」「データと確からしさ」となっている。この分類はOECD・生徒の学習到達度調査(PISA)で用いられている評価観点「数学的リテラシー」における、四つの「主要概念」とほぼ一致する。

 第3章では、数学の方法について記す。すなわち「数学」という言葉で考えるとはどういうことかを述べる。内容は大きく二つに分かれ、まず「数学言語」がどのようなものであるかについて説明する。次に数学を用いた問題解決のプロセスはどのようなものであるかを述べる。後者は本質的に「考える」ことであるので、哲学の方法とも深くつながっている。いわゆる「コンピテンシー」にあたる部分である。

 第4章では、2・3章が概括的な記述であるのを補うべく、幾つかの数学的に大事な話題を選んで、より具体的に述べる。また「日本語と数学」および「和算」という日本独自の話題を加えた。

 第5章は、それまでの数学の側からの記述を逆転し、個人と数学とがどのように関わっているか、また数学が自然科学あるいは社会科学とどのように関わってきたかについて、歴史的な観点に立ちつつ現在の状況を含めて、まとめの意味で捉え直してみた。