技術専門部会報告書

概 要

 本報告書は、「人間生活に役立つ」という技術の本質に基づき、利用者の視点から技術リテラシーを論じている。

 技術リテラシーは「技術に関する知識、技術を使うための方法論、実際に技術を使いこなす能力、の三要素から構成される」素養である。技術は問題解決への実践を伴うことから、技術の方法や利用する能力も、リテラシーの要素として扱っている。今後も技術を生み出し、使い続け、豊かな社会を持続させていくためには、社会に住む全員がある一定以上の素養を持って技術の舵取りに参画していく必要がある。

 現代社会に生きる我々は、意識をしているかどうかはともかく、技術の世界に暮らしており、何らかの技術リテラシーをすでに身に付けている。初めて飛行機に乗ったときのわくわく感、ちょっとした工夫で何かを達成した時の満足感は誰でも持っていよう。こうした夢や好奇心が技術リテラシーの根底にある。

 日常生活において、賢い消費者であるために、技術リテラシーが役に立つ。技術の本質を理解し、取捨選択できれば、技術の利用や購入において得をするし、交通事故や薬の誤飲といった、技術が生んだ人工物にかかわる災害から身を守れる。

 社会と技術が相互に変化していく中で、我々はうまく舵取りをして生き抜いていかなければならない。特に近年は、社会の持続可能な発展に向けた難しい舵取りを余儀なくされている。真に豊かな生活と社会を目指し、物の豊かさや単なる利便性だけでなく、バリアフリー、コミュニケーションの充実などをにらんだ、新たな未来像を皆でデザインしていく、こうした活動が求められており、そのための世界共通言語が技術リテラシーである。

 本報告書は、技術の知識として理解しておくべきことを、「技術の本質」と個別の「技術の用語」に分けている。技術の本質については、「システム」「デザイン」「トレードオフ」「マネジメント」といった技術の共通性格に関する用語に加え、「技術と科学」、「技術と社会」、「技術の歴史」といったテーマを説明している。

 技術の用語を説明するに際しては、技術用語俯瞰図という新たな試みを用いた。利用者から見て技術同士の関連性と技術の広がりが分かるように工夫したものである。図の中心に技術の利用者を置き、その周りに「日々の活動を豊かにする技術」を、さらにその周りに「社会を支える技術」、外縁に「地球環境/将来世代のための技術」を順に配置し、関連する用語は放射状に置いた。

 持続可能な豊かな生活の実現に向けて、本報告書を多くの人に読んで頂きたい。海外へ発信することにも取り組みたい。本報告書を普及していくにあたり、技術用語俯瞰図が役立つと期待している。俯瞰図の作成は始まったばかりだが今後、利用者、技術者双方の協力の下、充実させていく。技術は時代によって変化するため俯瞰図が完成することはないものの、将来の社会を思い描き、未来の若者のために必要となる用語や記述を盛り込んでいく。